Vol.14「臓器と未病」−7)脳と未病
1.内分泌の働き
内分泌とは分泌物を排出管を通さず内分泌腺(分泌細胞)から血液中などに放出することを言います。例えば生殖腺や甲状腺がこれにあたります。
因みに外分泌とは排出感を通じて生物の体の外に放出することを指し、汗や唾液、母乳などがこれにあたり、外分泌の対比として内分泌が位置付けられています。
さて「内分泌」される物質を「ホルモン」と呼びます。
ホルモンは内分泌細胞で産生され、血液中に移り、作用する細胞にあるレセプター(ホルモンを受け止める物質)と結合して、情報を伝達します。これらの循環物質(ホルモン)が細胞の反応を誘発し、フィードバック機構を通じて生理作用を調節しています。
2.内分泌と未病
以下の未病1型、未病2型のチェック項目で、当てはまる箇所がありましたら、ぜひ、一度当クリニックで診療を受けてみてください。
【未病1型】一般検査は正常だが、症状はある状態
①発熱(微熱)、多汗:甲状腺疾患、副腎疾患
②食欲不振:脳下垂体機能低下、甲状腺機能低下、副腎機能低下
③疲労感:高Ca血(原発性副甲状腺副腎皮質機能低下)
④むくみ:甲状腺機能低下症(又は亢進症)
⑤肥満:クッシング症候群、甲状腺機能低下
⑥痩せる:バセドウ氏病、糖尿病、神経性食欲不振
⑦かすれ声(嗄声):甲状腺腫(声帯マヒ)
⑧動悸:甲状腺機能亢進症
⑨胸痛:褐色細胞腫、甲状腺機能亢進症
⑩多尿・頻尿:尿崩症、糖尿病
⑪口渇・多飲:糖尿病、腎性尿崩症
⑫腹痛:糖尿病性ケトアチドーシス、副腎不全
⑬悪心・嘔吐:甲状腺クリーゼ、高Ca血症、副腎不全
⑭下痢:甲状腺機能亢進、カルチノイド症候群
⑮便秘:甲状腺機能低下症、褐色細胞腫
⑯意識障害:低血糖、副腎不全、甲状腺クリーゼ
⑰けいれん:高Na血、低Na血、高Ca血、低Ca血
⑱頭痛:下垂体出血
⑲震え(振戦):甲状腺機能亢進、バセドウ病
⑳脱毛:甲状腺機能低下、副腎機能低下
㉑生理異常:下垂体機能低下、甲状腺機能亢進
【未病2型】一般検査は異常だが、症状はない状態
①高血圧:甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫
②低血圧:下垂体機能低下、甲状腺機能低下、アジソン氏病
③血糖異常:糖尿病(膵臓)
④不整脈:甲状腺機能亢進症(頻脈)、甲状腺機能低下症(徐脈)
⑤血清脂質異常:甲状腺機能低下症(脂質高値)、甲状腺機能亢進症(脂質低値)
⑥ナトリウム 低値:腎性、腎外性にナトリウムを喪失
高値:水分喪失による血液濃縮
⑦カリウム 低値:腎からの喪失
高値:カリウムの腎からの排泄低下
⑧カルシウム 低値:悪性腫瘍(肺癌、乳癌)
高値:原発性副甲状腺機能亢進
⑨リン 低値:インスリン投与、ビタミンD不足、腎からの排泄促進
高値:慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、横紋筋融解症
⑩骨折:副甲状腺機能亢進症
今ある何気ない症状や一般検査の異常項目を疑うことで、本当の原因を突き止めることが望めます。
同様に、患者様自身の意識も大切です。「このくらいは大丈夫」と勝手な判断をせず、何気ない症状や一般検査での小さな異常が見られた場合は、一度、未病の診療を受けることをお勧めします。
未病状態をより高い確率で発見するためには、患者様も基本的な未病の知識を知り、症状や一般検査の結果に敏感になる必要があります。
上記のチェック項目を参考にして、気になる点があればできるだけ早い段階で当クリニックへお越しください。
血管活性化医療 Jinken clinic 院長 金澤武道
腎研クリニック 院長 金澤 武道 著書