Vol.8「臓器と未病」−1)腎臓と未病
私たちの体内には多くの器官があり、それぞれが特定の機能を果たし生命活動を営んでいます。これらの器官を総じて臓器と呼びます。今回からこの臓器と未病の関係について述べてみます。
(1)腎臓のはたらき
まずは、腎臓と未病についてお話しします。
腎臓は、体内に生じた不要物質を尿として体外に排出し、体液の組成や量を一定に保つ働きをしています。おなかの中の背側に左右一対で2個あり、通常、握りこぶしより大きくて、そら豆の形をしています。
腎臓は1日に約160リットルの水分を扱います。体内に水を取り入れると体が膨んで血圧も上昇してしまいそうですが、腎臓が尿として排泄してくれるので、血圧はうまく調節されています。ゆえに、腎臓の機能が故障すれば、たちまち体が膨れていくのです。
(2)腎臓と未病
ネフローゼ症候群という病気があります。糸球体の異常により、尿中に多量のタンパク質が漏れて、血液中のタンパク質が減少し、むくみが出るのです。主な症状としては、体がだるい、体がはれてくるなどです。これは尿検査によって、タンパク質を調べることで未病状態がわかります。
腎炎の場合は、アンモニアから作られる尿素窒素などを、尿に出せなくなり血液中にたまります。腎臓が極度に障害されると、考える力が麻痺することもあります。これは血液検査によって、尿素窒素を測ることにより未病状態がわかります。
次に、腎臓に腫瘍ができる場合があります。これはCTなどにより腎臓の形の異常に気づくことができます。
腎臓の未病は検査をしなければわかりません。1年に1回程度の尿検査や血液検査等が必要になります。また、日常生活においては、腎臓の未病チェックをすることができます。
以下の項目について当てはまるものがないかを確認してみましょう。これらの段階で気づくと未病治療ができるのです。
①腎臓の位置(両背腹部)を確認し違和感がないか。
②尿の色に異常がないか。(赤色や白色の尿は要注意!)
③体にだるさがないか。
④朝、顔がはれぼったくないか。
⑤朝、手指にはれぼったいような違和感がないか。
腎臓の未病状態は非常にわかりにくいので、自分の生活度チェックや定期検診(尿検査、血液検査など)が有効な方法です。
血管活性化医療 Jinken clinic 院長 金澤武道
腎研クリニック 院長 金澤 武道 著書