1.未病治療から後遺症治療へ
金澤院長は、脳梗塞の「未病治療」に長年取り組んできました。未病段階とは脳梗塞の発作で倒れるところまで行っていないものの、目眩(めまい)や痺(しび)れなどの脳梗塞の兆候がなんらかある状態です。
以前、未病治療に焦点を当て、脳梗塞の後遺症改善に関する研究を行なっていなかったのには理由があります。一度脳梗塞を発症すると詰まった(梗塞)血管の先に血流が無くなり脳組織は死んでしまいます。一度死んだ組織は決して甦りません。そう考えると、後遺症治療に関する研究を行う以前は「金澤式点滴治療」が後遺症の改善に役に立つと金澤医師も考えていなかったようです。
ところが、患者を含む色々な人との出会いによって研究を重ねることによって、後遺症に悩む方の機能回復に効果が有る事が分かってきたのです。さらに研究は進み、脳梗塞以外の「脳出血」や「くも膜下出血」など脳卒中の後遺症に悩む人の機能回復の可能性も見えてきました。
もちろん患者さん全員に効果が有るわけではありません。しかし、33%の人は手足が動くようになる、言葉を明瞭に話す事ができるといった効果が見られました。また50%の人が楽になったと感じるなどの自覚できる効果が認められています。
2.金澤式点滴治療のチャレンジ
今、腎研クリニックに関わる医師たちがチャレンジしていることは2つあります。
- 少しでも機能を回復させることはできないだろうか
- なんとか再発を防げないだろうか(再発で寝たきり、命を失う確率が高いため)
脳卒中で倒れ、後遺症に苦しむ大勢の人達を私たちは見てきています。患者さん本人はもちろんのこと、そのご家族の精神的、肉体的な苦しみがどれほど大きな人生の負担になっているかを考えると心が縛られる想いです。
今後も研究を進め後遺症に悩む人の治療に関して、より良い治療法の開発を進めて行きたいと考えております。
腎研クリニック 院長 金澤 武道 著書
角谷 研司