脳梗塞のキーワード「FAST(ファスト)」をご存知ですか?
前回のコラムでお話した「未病」では多くの場合、「病気状態」になる前段階である「未病状態」において何らかのサイン(変異)が現れます。
このサインを見逃さないよう、そしてより早く治療にあたれるようにとの医療現場の思いを込めて「F A S T(ファスト)」という言葉が生まれました。「F A S T」はFace(顔)、Arm(腕)、Speech(言葉)、Time(時間)の頭文字をとったものです。
1.F A S Tの「F」とは?
顔の動き、歪みの異常を見落とさないようにしましょう。
顔の片側、特に広角が下がったり、顔が左右対称ではなく歪んだりする症状が見られます。食べ物が口の片方から食べ溢れることが多くなったり、口元を両方同時に引き上げようとしても、自由に顔を動かせなかったりという症状が現れます。
2.F A S Tの「A」とは?
F A S Tの「A」はArm(腕)に現れるサインです。
腕に片側に痺れや麻痺があるかどうかを見ます。両手を胸の高さまでまっすぐ挙げてもらってそこで保持するようにしていただくと、麻痺をしている手は下に落ちてきます。両腕ではなく片側だけに麻痺が起こってくるようであれば、脳卒中の麻痺の可能性があります。日常的には、普段持つことができていた箸や茶碗が持てなくなって気がつくことがあります。「FAST(ファスト)」の「A」は腕の片側の麻痺、アームの「A」なんです。
3.FASTの「S」とは?
「FAST」の「S」はスピーチ(Speech)のSで、言葉を発するのに何らかの障害がサインとして現れます。「ろれつが回らない」「言葉の名前などが出てこない」「会話が噛み合わない」といった症状が代表的なものです。
4.FASTの「T」とは?
「FAST」の「T」はタイム(Time)の「T」です。脳卒中の症状があれば「すぐに病院に行く」ことが大切です。 脳梗塞であれば、発症から4.5時間以内が勝負と言われています。それまでに条件を満たせば、t―P Aという薬を始め使用できる薬もあります。しかし、4.5時間以内に病院に着けばいいというものではありません。病院に着いてから診察、検査、診断を行い、治療が開始されます。それまでにどんなに短くても1時間は掛かってしまいます。
【補足:脳梗塞のサインと言える症状の例】
「未病 Ⅰ」のカテゴリーにある症状
・目眩(めまい) ・動悸(どうき) ・息切れ ・歩行障害 ・言語障害 ・立ちくらみ ・耳鳴り ・疲労感 ・物忘れ ・手の震え ・熱感、冷感 ・頭痛 ・腰痛、膝痛、肩痛 ・胸痛 ・便秘 ・フラフラ感 ・むくみ ・不眠 ・ストレス ・手足の違和感 ・視力、聴力の低下
「未病 Ⅱ」の分類にみる症状
・高脂血症 ・高血糖 ・高血圧 ・高尿酸 ・不整脈 ・肝機能低下 ・腎機能低下 ・尿糖 ・尿蛋白 ・血小板凝集能亢進(けっしょうばんぎょうしゅうのうこうしん)
腎研クリニック院長 金澤 武道 著書
角谷 研司