脳梗塞とはどんな病気でしょうか。 このページでは脳梗塞について解説いたします。 寝たきりの生活や、コミュニケーションもできない入院生活・・・
漠然と恐ろしく感じでいらっしゃる方も多いでしょう。  当院では50年以上の長きに渡り血管活性化と脳梗塞との関わりを研究してきました。 病気を知ることで、皆さんも日常の生活から 
予防策や改善策を知ることができるかもしれません。

脳と脳梗塞

そもそも脳とはどんな働きをしているのでしょうか。

①考えをまとめる(思考、理解)
②行動を起こさせる(バランス、言語、運動)
③情動を感じさせる(喜怒哀楽)
④脳神経(視、嗅、味、聴)
⑤自律神経(汗、動怪)
⑥ホルモンの調節(男らしさ、女らしさ、代謝調節) ・・・等

脳はさまざまな症状の中枢となる器官

血液は血管のなかを流れて、様々な器官に栄養を与えています。 しかし血管が狭くなったり、閉塞したり、血液がドロドロとなり血管のなかで固まったりすると、 血流が滞って栄養が行かなくなります。その先の器官は徐々に弱くなり、ついには死に至ってしまいます。 このような変化が脳そのものにくると脳梗塞と病名がつけられます。

脳梗塞になると・・・

意識障害  頭痛  嘔吐
しびれ 歩行障害 言語障害 
めまい 顔面けいれん 物忘れ
記憶違い 計算違い ・・・等

どれも身近な症状であり、これらは脳に何らかの障害が生じたときによくみられます。
この症状がさらに悪化すると、生活に支障をきたすようになります。

血管が栄養を運ぶことで脳は機能する

脳梗塞を起こす原因は様々です。
いろんな要素が重なることでリスクはさらに高まっていきます。

どの血管であったとしても詰まったり虚血状態になれば、
脳組織は弱ったり、変質してしまいます。その結果、機能が低下し種々の
症状が出てきます。

めまいから始まる脳梗塞の症状

脳梗塞は血管の閉塞により、末梢の組織に血流が行かなくなり、脳組織が壊死に陥った状態を意味します。
一般的には閉塞の場所によって、脳の機能障害が起こります。例えば大脳の左半球や視床部の血管が閉塞すると言葉が言いづらくなったり、半身の動きが悪くなったり、半身がしびれたり、歩くと片方に傾くなどの症状が現れ、次第に片麻痺、言語障害、物忘れなどのさまざまな脳症状が出ることになります。

脳梗塞に至るまでの一般的な症状

次のような症状が段階的に出現してきます。

第1段階

めまい、しびれ、ふらふら感

第2段階

言語のもつれ、物忘れ、
思い出せない

第3段階

軽い片麻輝症状 
軽い歩行障害、軽い言語障害

第4段階

認知症症状
(人との会話についていけない、よく間違う)

このような症状を覚えたり、家族の人にみることがあったら脳梗塞未病の検査が必要であり、
異常所見のみられたときには直ちに未病治療が必要であることを覚えておきましょう。

脳梗塞はどうして起こる?

脳梗塞が起こるにはさまざまな要因が挙げられます。

①血管が硬くなり、血管を構成する細胞が破壊される

動脈硬化を起こす要因(高血圧、高コレステロール血症、高酸化LDL血症、高血糖など)によって起こります。また加齢変化として中膜の石灰化などもあります。

 

②血液が粘調性を帯びたり、固まる

これは動脈硬化が大きく影響しますが、その他に血小板の凝集能も大きくかかわってきます。また水分不足のため脱水状態となると血液濃度が高くなって、血液の流れがさまたげられ、栄養補給の障害が起こります。

 

③酸化LDLが多くなる

コレステロールを運ぶLDLというリポ蛋白質が体にある活性酸素などに出合うと
酸化LDLとなり、有害な物質となります。それが血管の内皮細胞を破壊します。

 

④種々のストレスが長くあるとき

ストレスがかかると血管は収縮し、高血圧となったり、活性酸素ができたりして血管を傷つけます。脳の血管が傷つくと、脳梗塞へと進展します。

血管壁はこんな構造になっている!

血管壁が傷つくと出血することをご存じでしょうか。 
血管壁の中には栄養血管のような細い血管があり、血管に傷がつくと破れて出血します。
皮膚にケガをすると傷口にかさぶたができるように、血管壁も傷がつくと血液の中の血小板という成分が集まり、
出血を止めて傷口を守ります。体内版のかさぶたのようなものです。

血管にかさぶたのようなものができる

傷が大きければかさぶたも大きくなります。細い血管の中に大きなかさぶたができると血管は狭くなり、
血流を妨げることになります。健康な血管なら、「線溶作用」と言ってかさぶたを溶かそうとする治癒力が働きますが、動脈硬化を起こした弱った血管だと、かさぶたを溶かす作用が低下し、かさぶたがそのままになってしまいます。

脳まで流れると脳梗塞

脳梗塞を防ぐ治療を!

血管活性化治療では血管内の出血を止める作用は残したまま、
かさぶたを小さく、更に傷ができにくい血管を作るように促します。動脈硬化で機能が低下した血管は、正常なスピードでかさぶたができたり、大きすぎると、それを溶かす作用が間に合いません。かさぶたができるスピードを緩めて、必要以上に大きくならないようにすれば、かさぶたの処理ができるようになります。

脳梗塞につながる様々な要因

メタボリックシンドロームが危険な理由

すでに耳なじみとなったメタボリックシンドローム。自分がメタボと自覚していながらも、その危険性を認識していない人が多いのではないでしょうか。

メタボリックシンドロームとは次の条件を満たしているときの病名としてつけられます。

《メタボリックシンドローム》

肥満(ウエスト周径 : 男性85センチ以上、女性90センチ以上)、
高血圧、高血糖、脂質代謝異常(高中性脂肪血、低HDL血)
これらの診断基準値が異常な場合

特に肥満を最重要事項として挙げています。 

肥満になって脂肪細胞が大きくなると、脂肪細胞から出されるアディポネクチン(動脈硬化を制御する物質)が分泌されなくなり、血管にコレステロールを沈着させたり、免疫機能が低下し、動脈硬化を促進します。

中性脂肪、肥満、コレステロールと脳血管障害

脳梗塞で入院してきた患者は、健常者よりも中性脂肪値が高い傾向があります。
一方コレステロールの値には健常者と差がみられない事も多く、
「脳血管障害にはコレステロールの高値はあまり関係ない」と言った話も耳にするかもしれません。
しかし、このコレステロールを血液中に運んでいるリポ蛋白質(LDIL)の酸化された酸化LDLは血管の傷害性が非常に大きいうえ、脳梗塞患者に多い傾向があります。

入院患者(脳梗塞・脳血管障害(脳卒中)・糖尿病)と健常者を対比すると、高血圧になるにつれて、大動脈石灰化の出現頻度も増えます。
特に脳血管障害者ほど高くなりますので、脳梗塞未病状態においても、血圧·血糖の因子については十分に注意しなければなりません。

 

大動脈石灰化

動脈が硬くなり石灰化している状態。

大動脈に石灰化がみられる場合は、一部のみならず、他の血管(脳、心、下肢血管)にも硬化が進行していると
考えなければなりません。

また、血管が硬くなっても症状として感知するとは限らず、血管内腔が狭められて初めて自覚症状が出てきます。
気付いてからでは手遅れとなってしまいます。
まずはその原因と考えられている高血圧·高脂血症、血糖の調整を未病の時期から行い、
しっかりとコントロールしなければなりません。

一般に脳血管障害は高齢者や高血圧者に多く認められるものですが、リスクに関しては皆が同様に重く受け止める必要があります。
「若いから高血圧でも血管はまだ大丈夫。」と考えず、何度か測定してもやはり血圧の高い場合には医師に相談して治療に努めれば、最悪の事態を避けることができるでしょう。